なぜ低脂肪乳は通常の牛乳より太るのか?

投稿日: カテゴリー: 食事

牛乳の脂肪量が少ないほど太りやすいとするデータ

体重を減らしたい、ダイエット中、というような方は多いでしょう。そんな方々が乳製品を選択する時に通常の「牛乳」よりも「低脂肪乳」を選択しようとすることが少なくないのではないでしょうか。

しかし、この「低脂肪乳」、英語ですとlow-fat-milk、reduced fat milkなどと記載されますが、意外にも牛乳(whole milk)よりも体重が増えたり、肥満を助長したりすることが指摘されています。



例えば、世界トップの権威ある医学雑誌New England Journal of Medicineに掲載された論文(N Engl J Med 2011;364:2392-404.)では牛乳は僅かながら体重を減少させる傾向があるが、低脂肪乳は僅かながら体重を増加させる傾向があることが示されています。
下記リンクからFigure 1をご覧ください。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa1014296


また、子供たちを対象にした研究のメタ解析論文(Am J Clin Nutr. 2020 Feb 1;111(2):266-279.)では、牛乳の脂肪割合が低いほど肥満を助長したり、体重を増加させたりする傾向があることを示しています。
下記リンクのFigure 3 でなんとなく傾向がわかると思います。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31851302/



複数の研究で示されていますので、この傾向はおそらく真実なのだと思います。含まれる脂肪量が多いと太りやすく、脂肪量が少ないと太りにくいように思いますが、なぜ逆の傾向を示しているのでしょうか?


逆因果?

まず、真っ先に考えつくのが

太っている人は、痩せようと思って低脂肪乳を選択する。

太っていない人ほど、普通の牛乳を選択する。


つまり、

低脂肪乳を飲んだから太ったのではなく、

太っている人が低脂肪乳を飲んだという、「逆因果」の関係です。

しかしながら、上記研究は前向きコホート研究が主であり、逆因果の可能性は低いと考えられています。




はっきりとした原因はわかっていませんが、以下の可能性が疑われています。


理由1. 満腹感の低下


乳脂肪の摂取量が多いと、コレシストキニン(cholecystokinin)やGLP-1(glucagon-like peptide 1)という物質が分泌されて満腹感が得られ、カロリーの高い他の食品への欲求が減ると考えられています。牛乳を飲むと、結果的に体重が減る傾向が示されている理由の1つがこれなのです。

低脂肪乳ですと、乳脂肪量が少ないがゆえに上記物質の分泌が減り、満腹感の低下をきたし、かえって摂取量が増えたり、他の食品の摂取量が増える可能性があります。これにより体重が増えたり、肥満を助長したりするというわけです。


理由2. 添加物の影響


日本の状況に合わせて説明しますと、”低脂肪乳”は実は2種類あります。

「低脂肪牛乳」と「低脂肪乳」です。

この違いを理解するには、牛乳の種類について説明する必要があります。
”牛乳っぽい飲料”は、大きく3つのカテゴリーに分けられます。

・(広義の)牛乳
・加工乳
・乳飲料

です。

(広義の)牛乳は、その原料が生乳(牛の乳)100%でなければいけません。
加工乳は、生乳に他の乳製品(バターやクリーム、脱脂粉乳など)を加えたもの。
乳飲料は、生乳に他の乳製品と、その他の成分(コーヒーや糖、カルシウムなど)を加えたものです。


下記の表を参考にしてください。(誤りがあったらご指摘ください)


「低脂肪牛乳」=(広義の)牛乳
「低脂肪乳」=加工乳もしくは乳飲料  ※


「低脂肪牛乳」は、(広義の)牛乳の中の成分調整牛乳の1つで、生乳100%でありそれ以外の成分は含まれません。

一方で、加工乳である「低脂肪乳(と表示されていることがしばしばあります)」は生乳以外の脱脂粉乳やクリーム、バターと言った成分が含まれてくるわけです。

あるいは、乳飲料の「低脂肪乳」もありますのでこれに関しては乳製品以外の様々な添加物が加えられていることになります。糖質など体重増加に深く関わるものも当然あり得ます。


この生乳以外の成分や添加物の影響で、体重が増える傾向を示す可能性があります。


※ 6/27追記
成分調整牛乳であっても「低脂肪牛乳」とう記載ではなく、「低脂肪乳」という記載をしている商品が存在しました。ややこしいです。



まとめ


「低脂肪乳」は通常の「牛乳」よりも太りやすいことが指摘されています。
低脂肪により満腹感が得られづらく、かえって総摂取量が増える可能性があります。また、低脂肪乳に加えられた添加物の影響で体重増加が助長される可能性があります。

ということは、おそらくは(「低脂肪乳(加工乳や乳飲料)」ではなく)「低脂肪牛乳(成分調整牛乳)」を選択して、飲み過ぎずに、かつ他の食品摂取量をコントロールできていれば、通常の牛乳より太りやすくなるということを回避できるかもしれません。

調べていて、牛乳の分類の紛らわしさに驚きましたが、自分も勉強になりました。

【参考文献】
・Mozaffarian D, Hao T, Rimm EB, Willett WC, Hu FB. Changes in diet and lifestyle and long-term weight gain in women and men. N Engl J Med. 2011 Jun 23;364(25):2392-404. doi: 10.1056/NEJMoa1014296. PMID: 21696306; PMCID: PMC3151731.

・Vanderhout SM, Aglipay M, Torabi N, Jüni P, da Costa BR, Birken CS, O’Connor DL, Thorpe KE, Maguire JL. Whole milk compared with reduced-fat milk and childhood overweight: a systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr. 2020 Feb 1;111(2):266-279. doi: 10.1093/ajcn/nqz276. PMID: 31851302; PMCID: PMC6997094.

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