様々な分野で女性の活躍増加
男性1人だと病気(を疑う症状が出ても)になってもなかなか医療機関に受診せず、家族に勧められたり、ほぼ無理やり連れてこられてようやく受診するというパターンにしばしば遭遇してきました(主に心臓病関連です)。
特に、妻に連れてこられた夫(中年男性)というパターンが多い気がします。
あるいは、男性が調子が悪く、妻に医療機関受診を勧められても受診せず、我慢していたらかなり悪化してしまい病院に救急搬送され生死をさまようという場面もしばしば遭遇しました。搬送に付き添ってきた妻曰く「受診しろ、受診しろ、と言っていたんですけどね。。」
様々な分野で女性の活躍が増えてきています。
女性がリードする場面も増えてきています。
医療機関受診を含めた、体調管理においても女性が男性をリードする面が多くなってきているのでしょうか。
EDは陰茎だけの局所的問題ではありません。
ED(erectile dysfunction)に関して、男性1人でこっそりと医療機関を受診する気持ちはとてもよくわかります。それはそれで良いと思います。
その一方で、EDでなかなか満足のいく性行為ができず、しかし医療機関にも受診しない男性はたくさんいらっしゃいます。
EDは、ただ単に勃起不全であるということ以外に、心理的幸福や人生満足度が低下したり、抑うつ状態に陥ったり(J Sex Med 2012;9:1497–1507)します。抑うつ状態は、EDを更に悪化させ悪循環に陥っていくばかりか、様々な身体的疾患(例えば心血管疾患)を続発させていく可能性もあります。
また、EDは、パートナーの性的満足度を下げたり、女性パートナーの性機能障害を来す(Int J Clin Pract. 2000;54(4):220–224.)こともあり、本人だけの問題ではありません。性機能障害とは、例えば性的欲求障害、性的興奮障害、オーガスム障害、性的疼痛などです。女性パートナーの性器萎縮が多いとの報告もあります(IMJ Ill Med J. 1981;159(1):29–33).
自分のため、パートナーのため、に積極的に治療に取り組むことが望まれます。
ED治療によりパートナーの女性の性機能障害が改善することも示唆されています(J Sex Marital Ther. 2004;30(5):333–341.)。
EDは、パートナーのせいじゃない
なお、決してパートナーの性的魅力がなくなったからEDになった訳ではありません。
「自分のせいかしら?」と誤解して自分を責めてしまうパートナーが少なくありません。そうではなく、基本的にEDは他に原因のある「病気」なのです。
ED治療もOne Team
一方で、EDの治療に妻などのパートナーが加わることで治療の成功率や、勃起治療薬のコンプライアンスが上昇することが示されています( Nat Rev Urol. 2016;13(3):168–177.)。治療のゴールも2人により微妙にズレが生じたりしますので、その確認をすることも大切だと思います。
もし男性がED傾向であった場合、パートナーは、相手のため、自分のため、そして2人のために、積極的にED治療を勧めたり、関わったりすることをお勧めいたします。クリニックに連れてきていただいてもちろん構いません。