「胸痛」が生じたときは

投稿日: カテゴリー: 循環器

急性心筋梗塞とは

急性心筋梗塞とは、心臓に栄養を与える冠動脈が急に閉塞して心臓の筋肉(心筋)が壊死する病気です。突然死の代表的な病気です。

 

 

典型的な症状は「胸痛」

胸が締め付けられるような、圧迫されるような痛みと表現する方が多いです。

胸の正中あるいは全体が痛むという感じで、一点を指で刺せるような限局的な範囲ではないことが一般的です。頚部や肩、腕に痛みが広がる(放散する)こともあります。

冷汗を伴う時は、急性心筋梗塞を含めた重症な病気である可能性が高いとお考えください。

 

 

診断の基本は心電図

医療機関では、このような症状の患者さんが受診された場合、心電図を記録し、特有の心電図変化によって「急性心筋梗塞」と診断することが一般的です。

 

しかし、この心電図の診断が難しい場合がしばしばあります。

心電図に異常が出ない心筋梗塞も珍しくなく、誤診の要因になります。

最近当クリニックを受診した急性心筋梗塞の方の心電図はこの通り「normal ECG(正常心電図)」でした。

(最近の心電図は機械がコメントを出してくれます)

 

循環器を専門としない医師ならば、「心電図が正常なので様子を見ましょう」ということになる可能性が高いです。

 

循環器医なら、心電図が正常でも急性心筋梗塞を否定することができないことを十分知っていますので、心臓超音波検査など他の方法で心筋梗塞の可能性をさらに探りに行きます。

 

この患者さんも心臓超音波検査の結果急性心筋梗塞を強く疑い、即座に救急車で心臓カテーテル治療ができる大病院に転送しました。

結果、診断はやはり急性心筋梗塞で、心臓カテーテル治療を施行して頂きました。

正常心電図の急性心筋梗塞だったわけです。

 

急性心筋梗塞の最も重要な治療は、閉塞した血管を少しでも早期に開通させてあげる(早期再灌流)こと、すなわち心臓カテーテル治療です。この治療ができるか、できないかでその後の経過が大きく変わってきます。

 

「胸痛」なら救急車、もしくは循環器専門医へ

胸痛は、急性心筋梗塞以外にも筋肉や肺や骨など様々な原因で生じます。

しかし、急性心筋梗塞や急性大動脈解離(大動脈が裂ける病気)といった命に関わる病気の可能性もあるわけです。これらを見逃すと突然死に至る可能性が十分あります。

突然生じた胸痛は我慢してはいけません。

今現在強い胸痛が持続しているのであれば救急車を呼ぶことを強くお勧めします。

胸痛が一過性であったり、なんらかの理由で救急車を呼ぶのが憚られるとお考えの場合は、上記疾患の対応に慣れている循環器専門医に相談しましょう。

 

いつでもご相談下さい。

 

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