ウェルビーイングクリニック駒沢公園の布施淳です。今日は、安静時心拍数は70台までが妥当であるということについてお話ししたいと思います。
某社の心電図の自動読影システムですと、
正常の心拍数は60-99/分です。
救急医療の現場では、
心拍数60/分未満を「徐脈」、
心拍数100/分以上を「頻脈」と称し、異常と見なします。
逆に言えば、心拍がやや速めでも、
心拍数100/分を超えていなければ、脈の速さに関しては重要視しません。
この60や100と言った心拍数の正常値の根拠は、あまりはっきりしません。
日本人間ドック学会では2018年4月1日現在、
心拍数の基準は以下のごとくです。
心拍数45-85/分 :A異常なし
心拍数40-44, 86-100/分 :C要経過観察(生活改善・再検査)
心拍数100/分以上 :D要医療
この基準によると、救急医療での基準よりも上限が下がってはいますが、
心拍数が85/分でも「正常」ということになります。
しかし、以前示したメタ解析のデータ(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26598376)ですと、
安静時心拍数が45/分から10/分上がる毎に、死亡リスクが9%上がります。
つまり、心拍数85/分は36%死亡リスクが高いと言えます。
このメタ解析も含め、心拍数と死亡リスクの関係の様々なデータを総合して考えると、
安静時心拍数は70/分くらいまでが妥当ではないかと考えます。
ちなみに、下限は50/分くらいが目安。
血圧の正常値も、時代とともに変化してきています。
かつては、収縮期血圧140mmHg/以上が高血圧とされていましたが、
最近は、世界的には130mmHg/以上が高血圧としています。
心拍数の正常値も、変わって良いはずです。
現在の「正常値」を疑う目を持っても良いでしょう。