高齢者は少ないアルコール量でも依存症になり得る

投稿日: カテゴリー: 医療一般食事

高齢者はアルコールに脆弱という話です。このブログをはじめとするネット情報を見る方は比較的若い人が多いかと思いますので、そんな方々にとっては、自分には関係ないと思いがちですが、そんなことはありません。そんな皆様の親世代の話にもなりますので、全く他人事ではありません。

 

アルコール問題の専門病院の久里浜医療センターによると高齢者のアルコール依存症が増加傾向で、男性アルコール依存症の4人に1人は60才以上とのことです。

なぜ、高齢者はアルコール依存症になりやすいのでしょうか。

 

 

高齢者は少ないアルコール量でも依存症になり得る


 

年をとると酒に弱くなると言いますが、その理由として、例えば以下が挙げられます。

① アルコール血中濃度が高くなりやすい

加齢により身体に占める水分の割合が低下するため同じ飲酒量でもアルコール血中濃度が高くなりやすいのです。また、アルコールの代謝機能が低下するとの意見もあります。

② アルコール吸収速度の速い人が散見される

萎縮性胃炎などの慢性疾患あるいは、胃切除などをするとアルコールの吸収速度が早くなり酔いやすくなります。

③ 脳のアルコールに対する感受性が上がる。

この理由は、よくわかりません、わかったら追記します。

 

これらの結果、高齢者は、飲酒量が少なくてもアルコール依存症になり得るのです。

例えば、

・ビール1-2本/日

・焼酎1合/日

・日本酒1-2合/日

といった、純アルコール20-40g/日ほどの飲酒習慣でもアルコール依存症になり得るというのです。純アルコール20g/日と言えば、日本人男性の節度ある適度な飲酒の量です。そんな量でも要注意ということです。

 

お父さんが、おじいちゃんが、毎日晩酌で上記量の飲酒をしていたらそれは要注意、ということになります。

 

高齢者がアルコール依存症に陥るタイミング


高齢者はどのようなタイミングでアルコール依存症になってしまうのでしょうか。

きっかけとして、以下が挙げられています。

・定年退職

・配偶者との死別

・病気、怪我、身体の痛み

・胃切除

・自由な時間の増加(ひま)

・孤独感、生きがいの喪失

・将来への不安

 

このようなタイミングで、アルコールに手を出し始めたり、酒量が増え始めたりしたら要注意です。

あなたのご両親、ご親族、周囲のご年配の方々は大丈夫でしょうか?

 

高齢者のアルコール依存症の特徴


高齢者のアルコール依存の症状で厄介な特徴の1つは脳、中枢神経系の障害が多いということです。多発性脳梗塞の頻度が増え、そして認知症が増えます。

アルコール依存症になると脳萎縮が進みます。これは高齢者に限らず。若年層でも萎縮しますが、高齢者の方が顕著です。(ちなみに、断酒をすると脳萎縮が改善することも期待できます。)

 

自分は思い残すこともないし、「もう死んでも良い」というような発言をするご高齢の方は少なくありませんが、「認知症になっても良い」という発言をする方は少ないです。

それだけ、多くの方にとって「認知症」のインパクトは強く、むしろ「死」よりも避けたい事象なわけです。

 

少量のアルコールでも依存症になり得て、そして認知症にも陥りやすいということを強調すれば、少しは抑止力になるかもしれません。

 

 

高齢者のアルコール依存症予防対策


暇な時間があるとアルコールに走りやすいです。早いうちから複数の趣味(生涯続けられる仕事でも良いですし)をもち、忙しくて酒を飲む暇もないくらいの生活になれば良いのです。

打ち込むものがあれば、配偶者が亡くなっても配偶者に依存していないので傷は相対的に浅く済みます。身体の痛みも忙しいと忘れることもできるかもしれません。孤独感も感じづらく、生きがいは感じやすいです。陥りやすい環境に遭遇しても、趣味が牽引してくれます。

 

これは、若い人にも通じるものですね。打ち込める仕事や趣味を多く持つことが大切です。

 

 

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