猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。急性期に重症化することはもちろん重大なことですが、重症化するしないにかかわらず、罹患後の後遺症も問題になっています。やっぱり「ただの風邪」じゃありません!
長期に及ぶため「long COVID」と言われたりしますが、まだ用語は統一されておらず様々な表現が使われています。
“Long COVID-19”
“post-acute COVID-19”,
“persistent COVID-19 symptoms”
“chronic COVID-19”
“post-COVID-19 manifestations”
“long-term COVID-19 effects”
“post COVID-19 syndrome”
“ongoing COVID-19”
“long-term sequelae”
“long-haulers” as synonyms.
“post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infection” (PASC)
“long-COVID-19”
“post-acute COVID-19”
すごいですね苦笑。それだけ、世界中で問題になっているということです。
この「後遺症」に関する様々な報告をまとめた論文が発表されています。
More than 50 long-term effects of COVID-19: a systematic review and meta-analysis.
Sci Rep. 2021 Aug 9;11(1):16144.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8352980/
18,000もの出版物のうち、条件に合致した15の研究論文(47,910人、17-87歳)を対象にしています。それらの研究は世界中から発表されておりヨーロッパ8件、米国3件、オーストラリア、中国、エジプト、メキシコが各1件でした。
後遺症の期間は、新型コロナ感染後14日から110日の範囲と定義されています。15件の研究のうち6件は、COVID-19で入院した患者のみが対象でしたが、他の9研究は、軽度、中等度、重度のCOVID-19患者を対象にしていました。
50を超える様々な後遺症
50を超える様々な後遺症の症状が確認されました。
最も一般的な5つの症状は、
・倦怠感(58%)
・頭痛(44%)
・注意障害(27%)
・脱毛(25%)
・呼吸困難(24%)
でした。
その他の症状は、肺疾患(咳、胸部不快感、肺拡散能の低下、睡眠時無呼吸、肺線維症)、心血管系(不整脈、心筋炎)、神経系(認知症、うつ病、不安、強迫性障害)などなど。下の図はこの論文に示されていたものです。英語で恐縮ですが、様々な後遺症が全身に及んでいる雰囲気が伝わると思います。
COVID-19に罹患した人の80%が長期的な後遺症を有していました。
(Sci Rep. 2021 Aug 9;11(1):16144. )
特異的な治療法はなく、対症療法。なので、やっぱり「予防」が一番!
上記のような様々な症状が報告されていますが、原因、病態はよくわからない部分も多く、特異的効果的な治療もないのが現状です。
ウイルスそのものの影響なのか、COVID-19に罹患したことで安静を強いられた影響なのか、心理的要素も影響しているのか、その全てなのか、まだまだ他の要素もあるのか。
いずれにしても、困っている症状に対する対症療法や一般的な健康習慣を促進するような対策(運動や食事、睡眠など)を地味に行うしかありません。
何よりも、COVID-19に罹患しないことが一番です。
つまり、予防が最も重要です。
厄介な後遺症に長い間煩わされないためにも、三密回避、手洗い消毒、不織布マスク、そしてワクチン接種をどうぞよろしくお願い致します。
【参考文献】
Lopez-Leon S, Wegman-Ostrosky T, Perelman C, Sepulveda R, Rebolledo PA, Cuapio A, Villapol S. More than 50 long-term effects of COVID-19: a systematic review and meta-analysis. Sci Rep. 2021 Aug 9;11(1):16144. doi: 10.1038/s41598-021-95565-8. PMID: 34373540; PMCID: PMC8352980.