杏林大学保健学部准教授の角田ますみさんにお声がけ頂き、この本をちょっとだけ分担執筆させて頂きました。
2019年6月3日発売です。
患者・家族に寄り添うアドバンス・ケア・プランニング—医療・介護・福祉・地域みんなで支える意思決定のための実践ガイド— 角田ますみ (著, 編集)
人生の最終段階における医療・介護の現場で、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)に基づく医療・ケアを実施することが強く推奨されています。厚生労働省はACPを「人生会議」と言う名称にしましたが、この本はその名称が決まる前に企画された本ですのでACPとしています。
ACPは、医療やケアが必要になったときに、どんな治療やケアを、だれから、どこで、どのような形で受けるのかについて、本人および家族、医療者らが共に話し合い、考えていくためのプロセスです。
この本では、医療・介護の場において人生の様々な段階にある患者および家族が意思決定していく際に、医療者としてどのように意思決定にかかわり支援していくのか、ACPの実践をとおして課題も含めて紹介しています。
自分が担当したのは循環器領域のACP。しかし具体的なACPのノウハウというよりは、より本質的な部分を自分なりに書いてみました。一言で言えば、普段から、老いも若きも「死」について考えて、それをシェアするような文化を作れば良いのではないか、ということです。
人間は誰しも亡くなる、死亡率100%です。にもかかわらず、「死」がタブー視されています。避けて考えないようにしていたり、考えたとしても周りの人とシェアしたり意見交換したりしずらい今の日本の文化が、いざ死が間近に迫った時に様々な問題が生じてきてしまう一つの原因と思っています。
また「死」を意識することで、「生」の価値も認識でき、より充実した「生」を送ることにもつながる、そう感じている人も多いのです。
Happyです俱楽部という名で、そのような趣旨のセミナーを不定期で開催していました。また開催する際は、このブログでもアナウンスしたいと思います。
https://www.facebook.com/Happy.death.club/
どなたにとっても他人事ではございません。基本的には医療者向けの本ですが、介護や福祉に携わる方も参考になるのではないかと思います。
この本が、担当患者さんの、ご自身の、ご家族の人生について再考する機会になれば幸いです。
当クリニックでは、在宅医療にも取り組んでいます。お気軽にお問い合わせください。