丸亀製麺の30分飲み放題
丸亀製麺の30分飲み放題が最強のコスパであると一部で話題になっています。
うどんやおつまみに加え、生ビールなどが30分で飲み放題。これでおおよそ1000円だそうです。仕事帰りに気軽にちょっと一杯。確かに惹かれます。
飲酒スピードは血中アルコール濃度に密に関係
惹かれる一方で、医学的視点からすると少々心配になります。
以前触れたように、血中アルコール濃度を規定する因子は主に4つです。
① 体重
② 性別
③ 飲酒量
④ 飲酒スピード(時間)
飲酒スピードが血中アルコール濃度に深く関係しています。
速く飲めば血中アルコール濃度が上昇しやすくなります。
30分という制限時間の中で「優雅に一杯」という意識の人は恐らく少ないでしょう。
せっかく飲み放題なら飲めるだけ飲もう!という気持ちになってしまう人も多いことでしょう。自分もそうです(苦笑)。
30分でどのくらいの量を飲むとどのくらいの血中アルコール濃度になると推定できるのでしょうか?。
日本人成人男性の場合
成人日本人男性の平均体重はおおよそ70kg。70kg男性の飲酒量と飲酒時間、血中アルコール濃度の表はこちら。
https://casaa.unm.edu/BACTable/index.html
横軸(黄色)が飲酒時間(単位:時間)です。
縦軸(水色)が飲酒量(単位:ドリンク)です。
白地に並ぶ数字が血中アルコール濃度(単位:mg/dl)です。
この表で言う1Drinkはエタノール(純アルコール)換算で12gだそうです。具体的には概ね以下の感じです。
生ビールの場合、
1 Drink=300ml
2 Drinks=600ml
3 Drinks=900ml
4 Drinks=1200ml
5 Drinks=1500ml
となります。
30分以内に飲みますから、表の縦の列(飲酒時間)で見るべきところは黄色の0の列です。
生ビールのジョッキを約400mlと仮定すると、
生ビール1杯(400ml)で血中アルコール濃度 約30mg/dl
生ビール2杯(800ml)で血中アルコール濃度 約60mg/dl
生ビール3杯(1200ml)で血中アルコール濃度 73mg/dl
生ビール4杯(1600ml)で血中アルコール濃度 約130mg/dl
血中アルコール濃度と酔い方の関係です。
生ビール2杯(800ml)で、判断力低下、危険を冒すレベルになります。
飲み慣れていない人が、30分以内に速いペースで飲酒すると4杯の時点で嘔吐するレベルの血中濃度(120mg/dl)に達する可能性があります。
ハイボールや、酎ハイにすると通常アルコール度数は5%より高くなりますので同じペースで飲むともっと血中アルコール濃度は高くなります。
逆に30分で4杯も5杯も飲めてしまう人は、アルコールの耐性ができてきていると言う可能性も疑われます。薬物依存の兆しかもしれません。
【参考】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-041.html
耐性:依存性薬物が効かなくなり、同じ効果を得るのに量を増やさないといけなくなること。
日本人成人女性の場合
成人日本人女性の平均体重はおおよそ50-55kg。50kg女性の飲酒量と飲酒時間、血中アルコール濃度の表はこちら。
男性同様に表の黄色の0の列を見てみると、
生ビール1杯(400ml)で血中アルコール濃度 約50mg/dl
生ビール2杯(800ml)で血中アルコール濃度 約110mg/dl
生ビール3杯(1200ml)で血中アルコール濃度 164mg/dl
30分で生ビール2杯(800ml)飲むと、嘔吐するレベル(120mg/dl)に近い血中濃度に達する可能性があります。そうでなくとも記憶や運動制御が失われ、危険な状態になります。
3杯飲むと嘔吐リスクが高くなります。
30分飲み放題の楽しみ方
生ビールをジョッキ1杯(約400ml)を30分以内に飲むと、血中アルコール濃度は 約40mg/dlに近いくらいのレベルに達します。このレベルですとアルコールのリラックス効果は得られますし、ご自身の判断力や自己コントロール力も保たれています。純アルコール換算でも20g弱くらいですから、身体的、健康的にも許容できる量です。30分で生ビールをジョッキ1杯(約400ml)に止めておくと、皆ハッピーなアルコールライフとなります。
2杯目、3杯目と慌てて飲むとアルコールの負の面が出やすくなります。
「飲み放題!」と言う表現に惑わされず、生ビール1杯で30分を楽しむ方策を推奨したいです。