鉄剤は処方薬が良いの?サプリ?ヘム鉄?キレート鉄?

投稿日: カテゴリー: 医療一般

鉄不足は頻度が多く、しばしば心身の不調の原因になっているということを前回お話ししました。


鉄不足の人が、鉄分を補うにはまずは食事です。鉄分が多い食材というと真っ先に思い浮かぶのがレバーです。しかし、レバーは苦手な方が少なくないですし、毎日食べるわけにもいきません。あさりも鉄分が多く良い食材ですが、こちらも毎日というわけにはいかないかもしれません。ほうれん草も良い食材ですが、鉄分を補うという目的においては吸収が悪く現実的ではありません(馬並みに大量に食べる必要があります)。

鉄不足の人が、それを補うにはやはり鉄剤が必要になります。


鉄剤は大まかに3種類




鉄剤は、大まかに次の3種類に分けられます。

① 医療機関で処方される鉄剤(非ヘム鉄)

例:フェロミア 50mg錠/8.4円(ジェネリック5.7円)

→100mgあたり16.8円(11.4円)

フェルムカプセル 100mg/8.2円

→100mgあたり8.2円

② 薬局などでサプリとして広く販売されているヘム鉄

例:DHCヘム鉄 5mg   60粒/ 626円 

  →100mgあたり208.6円

ディアナチュラ-ヘム鉄 3mg  30粒/591円

  →100mgあたり656.6円

③ ネット販売サプリ(輸入)のキレート鉄(非ヘム鉄)

例:Now Foods 鉄 ダブルストレングス 36mg 90/ 970円  

  →100mgあたり29.9円

※追記 Amazonの方が安いようです → https://amzn.to/2QNasvK

  アドバンストフェロケル 27mg 180/ 1,170円 

  →100mgあたり24.0円

※追記 こちらはAmazonの方が高い → https://amzn.to/34VzP6A

(価格は2020年8月23日現在)

①は当クリニックを含め、通常の医療機関が保険診療で処方しています。一番リーズナブルです。保険診療であれば自己負担は10〜30%ですので上記価格よりも更に安くなります。しかし、人によっては胃部不快や便秘、下痢などの胃腸関連の副作用が出る場合があります。その場合は、種類を変えたり、処方量を減らしたりで調整します。

②は副作用が少なく服用しやすいですが、割高な商品が多いようです。非ヘム鉄よりも吸収率が高い(※)とは言え、それにしても相対的に割高感は否めません。上記の2製品は適当にアマゾンで検索したものです。他にもっと安い製品があれば教えてください。

※ ヘム鉄は非ヘム鉄より吸収率が約3倍高いとする報告(Scand J Gastroenterol. 1979;14(7):769-79)、約7倍高いとする報告(J Clin Invest. 1974 Jan;53(1):247-55.)などあり、その他の報告も勘案すると概ね5倍ほど高いようです。

→ 単純に考えると、医療機関で処方される鉄剤は100mg/日ですからそれに相当するヘム鉄は20mg/日ほどになります。

③も胃腸関連の副作用が少ないようですし、比較的リーズナブルですが輸入品(通信販売)となりますので入手までに時間がかかったり若干面倒です。また、鉄過剰になりやすい可能性がありますので漫然と服用を続けるのは危険です。

amazonなら使い慣れている人が多いと思いますので、(割高な商品もありますが)比較的手を出しやすいかもしれません。


結局どれが良いのか?




③は一長一短で、その優劣は一概には言えません。どの製剤にせよ鉄が適切に補充できれば良いと思います。

重要なことは、どの製剤にせよ鉄剤内服中は定期的に採血を行い、フェリチン値などをチェックすることです。

漫然と盲目的にサプリメントを飲み続けることは危険です。


鉄不足は身体の不調を惹起しますが、一方で鉄過剰も身体へ様々な悪影響を及ぼします。


その意味では、医療機関で定期チェックを受けながら医師に処方をしてもらい①を内服することが最も安全(かつリーズナブル)と言えるでしょう。


①が消化器症状などにより服用困難という場合は、②あるいは③を検討するという手順が良いのではないかと自分は思います。


もちろん、

金銭的なことはこだわらないという人は、②でも良いですし、

輸入品のネット通販に全く抵抗感がないという人は、③でも良いと思います。

しつこいですが、何れの場合も、必ず医療機関で定期的にチェックを受けてください。


鉄剤選びで迷っている方、お困りの方はご相談ください。

採血での定期チェックも承ります。

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