ホエイプロテインの概要、分類、良い点、副作用

投稿日: カテゴリー: 医療一般身体活動食事

タンパク質不足の人、特にご高齢の方や、体調が思わしくない女性の方々にはタンパク質を多く摂ること、食事で摂りきれない分はプロテインで補うことをお勧めしています。

薬局やネットで販売してるプロテインパウダーの多くは「ホエイプロテイン」です。当クリニックでも、このブログでもよくホエイプロテインをお勧めしています。

このホエイプロテインってどんなもので、身体にどのような作用があるのでしょうか? どのくらい身体に良いものなのでしょうか、摂るにあたり注意点はあるのでしょうか?

 

そもそも「ホエイ」とは?


そもそも「ホエイ」とはなんでしょうか?

あまり聴き慣れない言葉かもしれません。こんなこともありました。

昭和の人しかピンとこないネタですね。

鯨(くじら)=whale ホエール です。ホエールプロテインも身体に良さそうですが、そのような製品は見たことはありません。惜しいですが、ホエイとちょっとだけ違います。

 

ホエイプロテインとは、牛乳由来のプロテイン(タンパク質)です。

牛乳は約87%が水分ですが、残り13%に糖質、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンの五大栄養素を全て含んでおり、その栄養価は大変高いです。牛乳の重量の約3.5%がタンパク質であり、カゼイン(80%)とホエイプロテイン(20%)の2種から成っています。カゼインは凝固の原因となるもので、ホエイプロテインは液体です。チーズを作る過程でできる上澄の水性成分がホエイです。

 

牛乳の中の成分の簡単な図をお示しします。「牛乳とタマゴの科学 」( 酒井 仙吉著 )の図を改変して書いています。

 

 

ホエイは、チーズ造りの過程で排出される水分、副産物であり、かつては「廃液」として捨てていたそうですが、その栄養価の高さに気付き今ではそれを「ホエイプロテイン」として活用しているわけです。

 

ホエイプロテインの優れた点


◯高い栄養価

ホエイプロテインは、アミノ酸を豊富に含んだ高品質のタンパク質です。組織の成長や修復に重要な必須アミノ酸や分岐鎖アミノ酸(BCAAs)など、あらゆる種類のアミノ酸が含まれています。

ホエイプロテインはカゼインよりもBCAAsの割合が高く、胃の酸性環境での溶解性が高く、より迅速な消化をもたらします。つまり、溶解性が高く、消化が早く、結果としてアミノ酸の血漿中濃度が高くなるため、ホエイは栄養的により好ましいタンパク質と考えられます。

大豆、トウモロコシ、小麦などの他のタンパク質源よりも高濃度で存在するだけでなく、効率的に吸収され利用されています。

 

◯筋肉の維持、増強

ホエイプロテインには必須アミノ酸とBCAAsが高濃度に含まれているため、筋肉の維持や増強に役立ちます。高齢者やアスリートなど筋肉を増強させたい人、体重の維持や減量を目指す人にとって特に重要です。
特にBCAAsのロイシンの含有量は、他の食品源と比較して高いレベルにあります。ロイシンは、筋肉の消耗を最小限に抑え、筋肉タンパク質合成を促します。

運動のパフォーマスンス向上にもつながりますので、スポーツ選手やアスリート、筋トレ好きの人がホエイプロテインをよく利用していることが理解できると思います。

 

◯食物摂取量の抑制

ホエイプロテインは満腹感シグナルを助長することで、短期的、長期的な食物摂取量の抑制、減量に繋がることも示されています。ホエイプロテインは、大豆、卵、肉類のプロテインよりも食物摂取量を抑制する効果が高いことも示されています。

つまり、ホエイプロテインは「ダイエット」にも効果的と考えられます。

 

◯生活習慣病軽減

上記のように筋肉/除脂肪体重を維持あるいは増加させること、満腹感を助長し過食を防ぐことにより、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病のリスクも軽減できる可能性があります。ホエイプロテインが、血圧やコレステロール値を低下させたとする研究もあります。

 

◯免疫能への好影響

またホエイプロテインは、細胞内のグルタチオンレベルを高め、ホルモンや細胞が介在する免疫応答を促進することにより、一部の癌(結腸、乳房、前立腺)を抑制する可能性があることが示唆されています。その他、免疫能への好影響や、抗菌・抗ウイルス効果も期待できます。ただし多くが動物実験レベルのデータであり確たるエビデンスではありません。

 

 

ホエイプロテインの副作用


ホエイプロテインの副作用に関してのレビュー(Appl Physiol Nutr Metab. 2020;10.1139/apnm-2020-0370)も発表されています。そこでは、例えば以下のような副作用が記載されていました。

 

◯ニキビ増加

ある研究では、ホエイプロテイン摂取2ヶ月の時点でニキビ増加していました。ただし対称群がないなどエビデンスレベルの低い研究のようです

 

◯腸内細菌叢の乱れ

ホエイプロテイン摂取は、バクテロイデス門の数を増やしRoseburiaBlautiaBifidobacterium longumなどの健康関連の細菌群の存在を減らしたとの研究があります。したがって、長期的なホエイプロテイン摂取は、腸内細菌叢に悪影響を及ぼす可能性があるとしています。

 

◯腎障害

腎機能が低下している人においては、タンパク質の過剰摂取により悪影響が生じる可能性はありますので主治医との相談が必要です。一方で、健康人でのタンパク質摂取と腎疾患の発症または進行との関連性を示す確たる研究はありません。心配する必要はありません

 

◯肝障害

運動をせずにホエイプロテインを摂取しているとAST(GOT)やALT(GPT)といった肝障害に関連する酵素が上昇したとする報告が複数ありますが、動物実験が多いようです。確たるエビデンスではありません。

 

◯易怒性(怒りやすくなる)

セロトニンは衝動性や抑うつ状態と関連する神経伝達物質であり、トリプトファン(TRP)はその合成に必須のアミノ酸です。ホエイプロテインにに含まれるBCAAsは、血液脳関門を通過する際にTRPと競合し、セロトニンの合成を低下させ、怒りの症状を引き起こす可能性があるそうです。ただこれも研究デザインに問題ありエビデンスレベルの低い研究のようです。

 

 

上記のような副作用をもちろん気をつけなければいけませんが、動物実験や症例報告レベルの情報も多々あり、あまり確たる副作用ではないと感じました。心配しすぎなくても良いと思いますが、ホエイプロテインを使用し始めて体調に変化が生じた場合はこれらの点を一応頭に入れておきましょう。

 

 

ホエイプロテインの種類


いざホエイプロテインを購入しようとすると、いくつか種類があることに気付きます。レビュー論文を参考にした表です。

 

最も一般的なホエイプロテインはWhey protein concentrate (WPC);濃縮ホエイプロテインで、薬局などでよく売っているホエイプロテインの多くはこのWPCだと思います。主に限外濾過によりホエイから乳糖、ミネラル、ビタミンを分離しタンパク質を回収・粉末化したものです。乳糖や脂肪の含有率がやや高めです。

以前ご紹介したこちらはWPCです。

 

リミテスト ホエイプロテイン WPC PURE 1kg プロテイン LIMITEST (プレーン, 1kg)

1,795円(2020.10.19現在)。タンパク含有率82.1%です。

 

Whey protein isolate (WPI);分離ホエイプロテインは、イオン交換樹脂にてタンパク質を選択的に分離しています。脂肪や乳糖をほとんど含みません。タンパク質含有率も高く、値段もWPCよりも高価です。

以前ご紹介したこちらはWPIです。

 

WPI ホエイプロテイン 1kg プレーン味 NICHIGA(ニチガ)

2,960円(2020.10.19現在)。タンパク含有率93.4%です。

 

加水分解したホエイプロテインはWhey Protein Hydrolysate(WPH)と表記されることもあり、吸収効率がよく、WPIよりも高価なことが一般的です。

 

どれを買えば良いのかわからない人は、まずはWPCを購入すれば良いと思います。

 

 

動物性タンパク質のホエイプロテインをたくさん摂って大丈夫なのか?


先ほど、ホエイプロテインの副作用は顕著なものはないという話でした。しかしながら、結局ホエイプロテインって、つまり「動物性タンパク質」です。以前、動物性タンパク質は多く摂ると死亡リスクが上がり得るという話をしました。

ホエイプロテインをたくさん摂っても大丈夫なのでしょうか?

下記記事をおさらいしておきましょう。

タンパク質摂取で死亡リスクが上がるのは本当か?

 

 

動物性タンパク質の中でも健康に悪影響を及ぼし得るのは特に「赤肉<卵<加工肉」でした。

乳製品は1日2.8サービング(牛乳なら670mlほど)くらいまでなら、死亡リスクは上昇も低下もしないでフラットです。(BMJ. 2019 Nov 27;367:l6204.)

 

表現を変えれば、牛乳も670ml/日以上飲んでいると死亡リスクが上昇し得るということになります。

牛乳は1.03g/ml ほどであり、670mlの牛乳は690g。

タンパク質の重量は690gx3.5%=24.15g

そのうち20%がホエイプロテインですので、24.15×20%=4.83g

 

670mlの牛乳にはおよそ4.8gのホエイプロテインが含有されていると推測します。

ホエイプロテインが牛乳の死亡リスクの原因となっていると仮定するならば、4.8g以上摂取することで死亡リスクが上がります。

ホエイプロテインには、牛乳の死亡リスクの原因となっている成分が全く含まれていないと仮定するならば、いくら摂取しても死亡リスクは上がりません。

 

死亡リスク上昇の原因となっている成分が全く含まれていないとも言えませんので、ホエイプロテインを習慣的に大量に摂るのはわずかながらの健康リスクがあるということを完全に否定することはできません。その閾値となる量ももちろんわかりません。

 

今の所、ホエイプロテインを摂ることで死亡リスクが上がるとか、がんなどの疾患の罹患が増えるなどという健康被害の確たる報告はありません。したがって通常の方は、全く気にせずにお好みの量を摂取すれば良いと思います。

マッチョな方など、プロテインマニアで大量のホエイプロテインを毎日摂取している方は、多少はリスクはあるかもしれません。

心配な方は、植物性タンパク質であるソイプロテインに切り替えたり、あるいは併用してホエイプロテインの量を少し減らすことも対策の1つでしょう。ただし、筋肉増強の効能はホエイプロテインより落ちる可能性があります。

布施が使っているソイプロテインはこちらです。

大豆プロテイン(国内製造)1kg ソイプロテイン100% 遺伝子組み換え不使用大豆 新規製法採用 [02] NICHIGA(ニチガ)

 

布施は、ホエイプロテインとソイプロテイン、両方を使っています。

 

 

まとめ


・ホエイプロテインは牛乳由来の栄養価が高いタンパク質である。

・筋肉の強化はもちろん、ダイエット、生活習慣病改善、免疫能向上なども期待できる。

・深刻な副作用の報告はない。

・WPC,WPI,WPHなどがあるが、初心者はまずはコスパの良いWPCで良いと思う。

・ホエイプロテインは動物性タンパク質であり、過剰摂取が心配な人は、植物性タンパク質であるソイプロテインへの切り替えや併用は対策の1つ。

 

 

【参考文献】

Vasconcelos Q, Bachur T, Aragao GF. Whey protein supplementation and its potentially adverse effects on health: a systematic review [published online ahead of print, 2020 Jul 23]. Appl Physiol Nutr Metab. 2020;10.1139/apnm-2020-0370. doi:10.1139/apnm-2020-0370

Kadam, B., Ambadkar, R., Rathod, K., & Landge, S. (2018). Health Benefits of Whey- A Brief Review. International Journal of Livestock Research, 8(5), 31-49. doi: 10.5455/ijlr.20170411022323 

Davoodi SH, Shahbazi R, Esmaeili S, et al. Health-Related Aspects of Milk Proteins. Iran J Pharm Res. 2016;15(3):573-591.

・牛乳とタマゴの科学 (ブルーバックス)新書   酒井 仙吉 (著)

 

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