月経前の心身の不調(月経前症候群)を軽減するには

投稿日: カテゴリー: ピラティスヨガ医療一般女性医学生活習慣身体活動

月経前症候群(Premenstrual syndrome:PMS)とは


月経前症候群(Premenstrual syndrome:PMS)とは、産婦人科診療ガイドラインによると、月経前3-10日間の黄体期に続く精神的あるいは身体的症状で月経発来とともに減弱あるいは消失するもので、イライラ、のぼせ、下腹部膨満感、下腹痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房痛、落ち着きがない、憂鬱などの症状を呈することが多い(多い順)とされています。

日本では生殖年齢女性の70-80%が、月経前に何らかの症状を伴うと言われています。月経関連の症状は仕事上の生産性低下にも関連していることが示されており()、その社会的インパクトも大きいと考えられます。にもかかわらず、PMSという病態の認知度は決して高くありません(特に男性)し、このギャップを含め、社会問題と捉えても良いと思います。

 

PMSの問題点


PMSの原因は諸説あるようですが、はっきりした原因はわかっていません。女性ホルモンであるエストロゲン-プロゲステロンのバランス変化(プロゲステロン不足)や、セロトニン作動性ニューロンの感受性の変化が関与していると考えられています(Pak J Med Sci. 2019;35(2):515-520)。

原因がはっきりしていないこともあり、その治療も確たるエビデンスを有したものは少ないようです。限定的なエビデンスのもの、経験的なもの、対症的なものが多くを占めます。

効果が期待できる低用量ピル も日本では保険適用外ですし(月経困難症には適用あり)、臨床現場で多用される漢方薬も明確なエビデンスはありません。それらを何とかやりくりして活用しつつ、その他、痛みに対して鎮痛薬、浮腫に対して利尿剤、抑うつやメンタル不調には安定剤や抗うつ剤などが選択肢となります。

 

生活習慣もやっぱり重要


PMSの対策として、上記の限定的な薬物治療を活用する前に基本的なこととして健全な生活習慣が重要です。つまり、規則正しい生活、ストレス緩和、十分な睡眠、定期的な運動、バランスの取れた食事、節酒、禁煙などです。マグネシウムやビタミンB6など微量元素やビタミン類も有効との意見もあります。

ここでは、その中でも「運動」に関しての論文を紹介しましょう。

 

ピラティスはPMSに有効か?


運動がPMSに対して有効であるとする研究はいくつかありますが、ピラティスの有効性を調べた研究はまだないようです。

 

この論文は、PMSに対するピラティスの有効性を調べた初めての研究のようです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33246104/

Effect of pilates exercises on premenstrual syndrome symptoms: a quasi-experimental study.

Complement Ther Med. 2020 Nov 24;57:102623. 

 

月経前症候群におけるピラティスエクササイズの効果

 

【目的】

月経前症候群の症状に対するピラティス運の効果を明らかにする。

 

方法

イスタンブール大学保健科学部の学生で月経前症候群症状のある者(N=286)のうち、条件(PMSS>88など)に合致する50名を対象とした(ピラティス群25名、対照群25名)(無作為ではない)。ピラティス群の学生には3ヶ月間ピラティスを行ってもらい、対照群の学生には日常的な通常の生活を続けるように指示した。開始前と3ヶ月後にピラティス群と対照群のPMSの程度を評価した。

 

PMSの評価には、月経前症候群尺度(PMSS)を使用した。PMSSとは44問からなる評価尺度で、評価項目として、抑うつ感情、不安、倦怠感、イライラ、抑うつ思考、痛み、食欲、睡眠、浮腫があり、総合点( 44-220)を算出。PMSSは得点が高いと、症状が強いことを示している。

 

ピラティスは以下の基本的なマットピラティスメニューを、週3回、1時間/回行った。

Spine Stretch, Hundred, Spine Twist Supine, Roll-Up, Neck Pull, Saw, Rolling Back, One Leg Stretch, Double Leg Stretch, Rollover, Bcycle, Control Balance, Shoulder Bridge, Teaser, Hip Circles Prep, Rocker With Open Legs, Bomerang, Seal, Crab, One Leg Circle, Leg Pull, Leg Pull Front, Side Bend, One Leg Kick, Double Kick, Side Kick Kneeling, Swimming, Rocking, Swan Dive, Push Up.

 

【結果

ピラティス群と対照群では、臨床背景に有意な違いはなく、開始前のPMSSスコアにも統計的な有意差は認められなかった(p < 0.05)。

3ヶ月後の評価では、

・ピラティス群のPMSS総得点は対照群に比べて有意に低かった(優れていた)(p < 0.001)。

・倦怠感を除く各項目(抑うつ感情、不安、イライラ、抑うつ思考、痛み、食欲、睡眠、浮腫)も全て有意にピラティス群の得点が低かった(優れていた)。

・群内比較では、

 ・対照群の3ヶ月後のPMSSスコアは開始時と変化なかった(改善しない)

 ・ピラティス群の3ヶ月後のPMSSスコアは開始時のスコアよりも有意に低かった(改善していた)(p < 0.001)。

 

結論

ピラティスは、PMSの症状を有意に軽減させた。

無作為比較試験などの更なる研究が望まれる。

 

 

ピラティスは、身体的な健康、心理的な健康、運動機能を向上させることが数々の研究で示されています。それに加え、PMSの症状を軽減する効果も示唆されました。ピラティスは女性にとって全般的な健康を得る良き機会になると上記論文の著者らは言っています。

道具なしで、いつでも、どこでも、自宅でも、どなたでも、1分でも10分でも、楽しめるピラティスやヨガはコロナ時代には最適なエクササイズの1つとこのブログでも言ってきました。

更にメリットが増えた感じです。

試してみたい方は、とりあえずYoutubeなどで検索してみても良いですし、Zen Placeもおすすめです。

 

 

PMSでお悩みの方へ


多くの女性がPMSでお困りだったり、QOLが低下していたり、仕事の効率が落ちていたりします。

ピラティスや、その他の運動、生活習慣是正に取り組んでいただき、それでも解決しない方、尚且つ婦人科受診はハードルが高い、、という方は当クリニックでもご相談に乗りますのでご予約いただければと思います。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です