今やろうとするそれが生み出すのは、ヘドニアか?ユーダイモニアか?

投稿日: カテゴリー: ポジティブ心理学


昨日10月10日は「世界メンタルヘルスデー2021」ということもあり、とあるところでポジティブ心理学に関してお話させて頂く機会がありました。
そこで出た話題の一つをご紹介します。


「幸せ」には大きく分けて2種類あります。

・ヘドニア(hedonia)
・ユーダイモニア (eudaimonia) 

です。

言葉の由来はアリストテレスの時代まで遡ることになるようですがここではその概念だけ簡単に触れたいと思います。

ヘドニア(hedonia)的な幸せ


ヘドニア的な幸せとは、快楽的な幸せとも言い換えることができ、「喜び、楽しみ、快適さ、痛みの軽減の追求および/または経験」と定義されます。

今現在の個人の快適さという感じです。

ユーダイモニア (eudaimonia)的な幸せ


ユーダイモニア的な幸せとは、自己の成長や美徳を求める幸せであり、例えば、

・人間の行為によって達成可能な最高の人間の善(Ryff and Singer, 2008)
・自分の可能性の様々な実現(Irwin, 1985)
・良い人生を構成する本質的に良い状態や活動(Fraser, 2014)
・自分の中の最高のものを使い、発展させようとすること(Huta, 2011)

などと表現されています。

Eudaimonic Well-Being(EWB)という言葉もあり、「人の最高の潜在能力を開発し,それを個人的に表現力のある自己調和的な目標の達成に応用することによって得られる生活の質」を意味します(Sheldon, 2002; Waterman, 2008)。


ヘドニア(hedonia)とユーダイモニア (eudaimonia)


両者の違いを簡単に整理してみると、

ヘドニア(hedonia)→ 今現在
ユーダイモニア (eudaimonia)→ 今と将来

ヘドニア(hedonia)→ 自分
ユーダイモニア (eudaimonia)→ 自分と他者/仲間

ヘドニア(hedonia)→ 感情的、本能的 
ユーダイモニア (eudaimonia)→ 認知的

ヘドニア(hedonia)→ 具体的
ユーダイモニア (eudaimonia)→ 抽象的



幸せwell-beingは主にヘドニアとユーダイモニアから構成されており、相互に排他的であったり、対立したりするものでもありません。この2つの幸せは非常に相関性も高いですが、その特性は異なります。

ユーダイモニア (eudaimonia)的な欲求が、一般的に幸福度を向上させる一方で、ヘドニア(hedonia)的欲求は「良い人生」という目標の達成にはつながらず、むしろ逆効果になる可能性があることを示唆している研究は少なくありません。

ヘドニア(hedonia)的欲求は、自制心を害することで幸福度を低下させる可能性があり、反対に、ユーダイモニア (eudaimonia)的な欲求は、自制心を向上させることで幸福度の向上に寄与する可能性があるのです。

ヘドニア(hedonia)の追求よりも、ユーダイモニア (eudaimonia)の追求の方が、良い人生を送るという目標を達成する可能性が高いと言えそうです。


極端な例を言えば、アルコールやタバコ、薬物で一時的な快楽を求めること(ヘドニア(hedonia))は、決してウェルビーイングには繋がらないということです。


お笑い番組を観ることで笑いを得ることは悪いことではありません。「笑い」の頻度が多い人の方が少ない人より生存率が高いという研究もあります。繰り返しますが、両者は排他的であったり、対立したりするものでもありませんのであくまでバランスが大事なのだと思います。



ちなみに、ポジティブ心理学は、基本的にはユーダイモニア (eudaimonia)の追求を目指した学問です。ユーダイモニア (eudaimonia)とウェルビーイングの相関関係は普遍的なものなのだと思います。


まとめ


・「幸せ」には大きく分けて2種類あります。
・ヘドニア(hedonia)とユーダイモニア (eudaimonia) 
・ヘドニア的な幸せとは、快楽的な幸せ
・ユーダイモニア的な幸せとは、自己の成長や美徳を求める幸せ
・基本的にはユーダイモニア (eudaimonia)の追求の方が、ウェルビーイングの向上につながりやすい
・両者のバランスが大事で、2つの幸せを意識して享受すると良いでしょう。


【主な参考文献】
・Allen JG, Romate J, Rajkumar E. Mindfulness-based positive psychology interventions: a systematic review. BMC Psychol. 2021 Aug 6;9(1):116. doi: 10.1186/s40359-021-00618-2. PMID: 34362457; PMCID: PMC8344333.

・Mao Y, Roberts S, Pagliaro S, Csikszentmihalyi M, Bonaiuto M. Optimal Experience and Optimal Identity: A Multinational Study of the Associations Between Flow and Social Identity. Front Psychol. 2016;7:67. Published 2016 Feb 19. doi:10.3389/fpsyg.2016.00067

・Waterman AS, Schwartz SJ, Zamboanga BL, et al. The Questionnaire for Eudaimonic Well-Being: Psychometric properties, demographic comparisons, and evidence of validity. J Posit Psychol. 2010;5(1):41-61. doi:10.1080/17439760903435208

・Huta V. Eudaimonia versus Hedonia: What Is the Difference? And Is It Real? | International Journal of Existential Positive Psychology. In: Special Issue: Proceedings of the 2016 Meaning Conference. International Journal of Existential Positive Psychology; 2018. p. 8.

・Zeng Z, Chen H. Distinct Associations of Hedonic and Eudaimonic Motives with Well-Being: Mediating Role of Self-Control. Int J Environ Res Public Health. 2020 Jul 31;17(15):5547. doi: 10.3390/ijerph17155547. PMID: 32751907; PMCID: PMC7432148.

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