乳がんにおけるピラティスの有効性

投稿日: カテゴリー: ピラティス医療一般女性医学

乳がんとピラティスに関して調べる機会がありましたので、こちらでもご紹介いたします。今回も雑多な情報になっておりますが、乳がんを患った方、またそのようなご家族やお知り合いがいらっしゃる方は参考にされると良いかと思います。

乳がんは、女性のがんの中で最も罹患率が高く、そして生存年数が長いため”慢性疾患”の一つと考えられています。乳がんの治療成績、生存率は向上していますが、それに伴いがんによる諸症状、治療による副作用に悩まされる方も少なくありません。

2018年、2017年の系統的レビュー、小研究1つ。痛みや疲労、身体的機能、リンパ浮腫への効果などが示唆されています。

45分間、週3回くらいのピラティスが良さそうです。

系統的レビュー①

① 乳癌の女性に対するピラティス:系統的レビューとメタ解析

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30477829
Pinto-Carral A, Molina AJ, de Pedro Á, Ayán C. Pilates for women with breast cancer: A systematic review and meta-analysis. Complement Ther Med. 2018;41:130‐140. doi:10.1016/j.ctim.2018.09.011

【背景】
乳がんは、女性のがんの中で最も罹患率が高く、そして生存年数が長いため慢性疾患の一つと考えられている。乳がんの生存率は向上しているが、がんによる諸症状、治療による副作用を伴う。生活習慣の乱れはBC生存者の健康を悪化させ、死亡率を高めることが示唆されている。多くの研究結果から、乳がん女性において、運動は治療に関連する病的状態を軽減し、身体的・心理社会的状態の改善を通じてQOLを最適化することが証明されている。ピラティスが乳がんケアの標準的な治療法として確立される前に、他の運動療法と同様に、その安全性と有効性を裏付ける既存の科学的根拠を批判的に検討する必要がある。

【目的】
乳がん女性のリハビリテーション戦略としてピラティスを提案した研究の特徴と方法論の質を評価し、健康転帰に対するピラティスの利点を明らかにすること。

【対象と方法】
系統的レビューとメタ解析を実施した。各種文献データベースで2017年1月まで検索した。方法論の質は、Jadad Scaleおよび対照群のないビフォーアフター研究の質評価ツールを用いて評価した。バイアスのリスクはコクラン共同研究のツールを用いて評価した。

【結果】
5件の無作為化対照試験と2件の無対照試験が条件に合致し対象とした。無作為化対照試験のうち4試験によるメタ解析では、肩の可動域、QOL、痛み、自己申告した上肢機能に対するピラティスの効果についてピラティスは有意な効果を示した。ピラティスは機能的状態(functional status;日常的な活動の遂行能力)、気分、フィットネス、上肢周囲長にも正の有意な効果があった。また、メタ解析では、ピラティスが肩の可動域とQOLに与える効果は、他のエクササイズプログラムから得られる効果よりも有意に大きいものではなかった。

【結論】
ピラティスは安全かつ乳がんに関連した症状の影響を和らげる。他の運動介入と比較して、ピラティスは上肢の痛みと機能性の改善に特に効果的であると思われる。しかし、肩の可動域やQOLに対する効果は、他の運動プロ グラムによるものよりも大きいとは思われない。
研究の数と質は低く、乳がんにおけるピラティスの有効性に関する科学的根拠を固めるためには、さらなる研究が必要である。


この論文によると、

・乳がん女性における運動の継続性は、運動方法に対する肯定的な気持ちに左右される。
・乳がん女性にはマットピラティスのセッションを45分間、週3回が推奨。とのこと。

系統的レビュー②


② 乳がんのためのピラティス:系統的レビューとメタ解析

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29451666
Espíndula RC, Nadas GB, Rosa MID, Foster C, Araújo FC, Grande AJ. Pilates for breast cancer: A systematic review and meta-analysis. Rev Assoc Med Bras (1992). 2017;63(11):1006‐1012. doi:10.1590/1806-9282.63.11.1006

【背景】
乳がんは、世界的に女性の死亡原因となるがんの第一位である。高齢化と生活習慣に関連した危険因子のため、この病気の発生率は世界的に増加すると予想されています。手術前後の乳がん女性のライフスタイルを考慮すると、ピラティスは標準的な治療に加えて補完的な介入となる可能性がある。

【目的】
乳がんと診断された女性を対象に、ピラティスの効果を他のエクササイズおよびエクササイズなしと比較して分析する。

【対象と方法】
2017年3月までの関連出版物について、各種文献データベースで検索した。使用したキーワードは「ピラティス」と「乳がん」とし、無作為化比較試験のみを対象とした。批判的評価は、Risk of Bias Toolとエビデンスの質を評価するためのGRADEスコアを用いて行った。

【結果】
合計4件の研究がレビューに含まれた。各研究の参加者数は、26〜57人。2件の研究はトルコ、1件の研究はイラン、1件の研究は米国。各研究の参加者の平均年齢は44.11±6.19歳から56.50±12.97歳の範囲であった。ほとんどの研究では、ステージI、II、IIIの乳がんと診断された女性を対象としていた。
ほとんどの研究で、ピラティスが週3回、8週間にわたって行われ、1回のセッションは45~60分であった。すべての研究で理学療法士による監督が行われていた。

個々の研究において、ピラティスや自宅でのエクササイズ(home-based exercises)はエクササイズを行わない場合よりも優れていることが示された。ピラティス群では、自宅でのエクササイズと比較して有意な改善が観察された。個々の研究では、機能的能力(functional capacity)やその他可動域、疼痛、疲労等の改善が観察された。

【結論】
乳がんの女性に対し、全体的にピラティスは自宅でのエクササイズ(home-based exercises)や運動なしよりも優れている。ピラティスや自宅でのエクササイズ(home-based exercises)は、疲労、可動域、気分の面で運動なしより優れており、リスクも低い。

リンパ浮腫とピラティス

③ 乳がん治療後にリンパ浮腫を発症した患者に対する臨床的ピラティスエクササイズの効果:無作為化臨床試験

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5351459/
Şener HÖ, Malkoç M, Ergin G, Karadibak D, Yavuzşen T. Effects of Clinical Pilates Exercises on Patients Developing Lymphedema after Breast Cancer Treatment: A Randomized Clinical Trial. J Breast Health. 2017;13(1):16-22. Published 2017 Jan 1. doi:10.5152/tjbh.2016.3136


【背景】
乳がんは女性のがんの中で最も多く、増加傾向である。現在、世界の女性の約8人に1人が乳がんになる可能性があると言われている。放射線治療、化学療法、外科的治療などの乳がん治療の進歩により、乳がん関連の死亡率は低下しているが、リンパ浮腫などの合併症が生じうる。乳がん治療後のリンパ浮腫の発生率は2%から83%と報告されている。乳がんや乳がんに関連するリンパ浮腫について調査した研究では、身体活動が患者のQOLや情緒状態に極めてポジティブに寄与しており、身体活動の多様性を高めることが非常に必要かつ有用であると報告されている。リンパ浮腫患者の運動プログラムには、有酸素運動の体力向上に寄与する有酸素運動、胸部のリンパ系を刺激する呼吸運動、筋力・持久力を向上させる適量のレジスタンス運動が含まれることが望ましい。

【目的】
乳がん治療後に発症するリンパ浮腫に対する臨床ピラティス体操の効果を、標準的なリンパ浮腫体操の効果と比較する。

【対象と方法】
乳がん治療後にリンパ浮腫を発症した平均年齢53.2±7.7歳の女性患者60名を対象とした。患者をピラティス運動群(n=30)と対照群(n=30)の2群に無作為に割り付けた。治療前と治療8週目に、リンパ浮腫の重症度、四肢周囲径、社会的外見不安尺度を用いたボディイメージ、欧州がん研究治療機関(EORTC)のQOL質問票(QLQ-BR23)によるQOL、DASH(腕・肩・手の障害)転帰尺度による上肢機能などを測定した。両群とも週3日、1時間のエクササイズを8週間行った。

  • Roll Down, upper-extremity proprioceptive neuromuscular facilitation (PNF) methods, Dumb Waiter, Cleopatra, Toy Soldier, Chester stretch, and swinging exercises in the standing position
  • Spine stretch, the Saw, Mermaid, and oblique roll up exercises in the sitting position
  • Abdominal preparation, Hundreds, one-leg stretch, double-leg stretch, scissors, shoulder bridge, and hip twist exercises in the supine position
  • Clam, arm openings, sidekick, lift lower, and leg lift exercises in the side-lying position
  • Swan Dive, one-leg kick, and swimming exercises in the prone position

対照群は、腰椎の安定性(コア・スタビライゼーション)、徒手リンパドレナージ、スキンケア、肩のエクササイズ、wall extension、Wand exercises、頭頸部運動、肩甲帯の安定性を高める運動などが指導された。さらに、pumping activitiesや呼吸法を行うことが推奨された。参加者は、これらの運動を説明したパンフレットを渡され、これらの運動を少なくとも10回繰り返すことが推奨された。さらに、スキンケアに気を配り、毎日1時間歩くことも勧められた。参加者には電話によるフォローアップを行った。

【結果】
治療後、両群とも症状は有意に回復した。ピラティス運動群では、リンパ浮腫の重症度の軽減、社会的外観不安尺度得点、QOL得点、上肢機能得点の改善が対照群より大きかった。ピラティスは、標準的なリンパ浮腫エクササイズよりもリンパ浮腫患者の症状に対してより効果的であると判断された。

【結論 】
ピラティスエクササイズは安全なモデルであり、治療プログラムに貢献できると考えられる。

まとめ

ピラティスの研究はそのほとんどが小規模研究で研究の質も高くありません。従って、その解釈には限界はあるもののご紹介したような有効性も期待できるわけです。

乳がんの治療・リハビリに関しては医療機関でよく相談することが原則です。

医師の指示により医学的対処を受けた上で、補完的な手段としてピラティスを活用することは悪くないと思います。

乳がんへの特異的効果のみならず、心身に様々なメリットも期待できます。

いつも申し上げていますが、ヨガ、ピラティスは、誰でも、どこでも、自宅でも、道具もなく実践できます。外出しづらいコロナ時代には相性の良いエクササイズです。

初めはインストラクターに指導を仰ぐことが良いと思います。

Zen Placeのピラティスも良いと思いますし、特に「乳ガンリカバリーピラティス」といったプログラムもあるようです。
https://www.zenplace.co.jp/pilates/

「乳ガンリカバリーピラティス」
https://www.zenplace.co.jp/class/breastcancer_recovery.html



とりあえず、Youtubeで色々みてみてはいかがでしょう。
Youtube
https://www.youtube.com/hashtag/zenplace


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です