パルスオキシメーターで酸素飽和度が低い場合

投稿日: カテゴリー: blogデジタルヘルス

新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、パルスオキシメーター(酸素飽和度測定器)が急速に普及しつつあります。「ちょっと熱っぽいかな?」と感じた時には、多くの方が自宅で体温計により体温を測定します。「少し息苦しいかな?」と感じた時には、自宅でパルスオキシメーター(酸素飽和度測定器)により酸素飽和度を測定することが当たり前の時代になってきています。

こちらを参考に。

新型コロナ感染が不安な方は、パルスオキシメーターで酸素飽和度測定を。

 

 

酸素飽和度とは?パルスオキシメーターとは?


おさらいです。

酸素飽和度とは、簡単にいうと血液内の酸素の濃度のことです。

パルスオキシメーターとは、経皮的(皮膚を通じて)酸素飽和度を測定する器具です。

指先に挟むように取り付けて測定することが一般的です。

肺から取り込んだ酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身の臓器に運搬されます。

血管(動脈)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているかを示した値、それが酸素飽和度です。

 

 

「息苦しい」と訴える患者さんに遭遇した場合


医師が、「息苦しい」と訴える患者さんに遭遇した場合、まず確認したいことの1つは「酸素が足りているか?」です。

身体の酸素が少なくなったことを客観的に、定量的に捉える最も簡便な方法こそ、このパルスオキシメーターにより酸素飽和度を測定することです。

一般的には93%以下ですと低酸素状態と考え、酸素投与などの対策を検討します。ひどくなると90%以下になったり、もっと重症になると80%とか、70%台になったりする人もいます。こうなると呼吸不全と考えられ、命にも関わる事態ですので、即座に、より強力な酸素療法などが必要になります。

そして、酸素を投与して酸素飽和度が上昇していくかを観察し、投与する酸素の量を調整します。

 

なぜ、「息苦しい」のか?


パルスオキシメーターにより、酸素飽和度が低いということは簡便にわかりますが、なぜ低いのか?なぜ患者さんは「息苦しい」のか?という「原因」はこれだけですとわかりません。

口や鼻から吸った「酸素」(を含んだ空気)は、咽頭、喉頭、気管、気管支といった「気道」を経て「肺」に至り、血液を通じて全身に行き渡り、生命維持に大きな役割を果たしています。このプロセスのどこかに障害が生じると酸素不足となり、息苦しく感じるようになります。

出典:からだと病気のしくみ図鑑(法研)

 

例えば、

お餅が喉に詰まってしまうと、「気道」が閉塞してしまい、酸素を取り込めません。

この上気道閉塞は緊急事態であり、秒単位、分単位で早急に適切な対処をしないと死に至ってしまいます。上気道閉塞としては、餅などの異物による閉塞のほか、急性喉頭蓋炎やアナフィラキシーによる急性喉頭浮腫といった病気が知られています。完全に閉塞していなければ、その部位でstridorという狭窄音(ヒーヒーとか、ヒューヒューとか、、)が聞こえますし、原因同定はそれほど難しくない場合が多いです。ここでは詳細には触れません。超緊急事態であることだけ覚えておきましょう。

「肺」(末梢の気管支も含む)の障害でも酸素が取り込めず(上気道閉塞ほど超緊急でないとしても)命に関わる事態になってしまうことがしばしばあります。肺の障害の原因としては様々なものがあります。肺炎(星の数ほど種類があります)、肺がん、アレルギー、気胸、COPD(肺気腫など)、喘息、無気肺、心不全、、、、。挙げればキリがありません。新型コロナ肺炎もその原因の1つです。

肺の障害による低酸素の場合


肺の障害による低酸素の場合、その原因を同定することはそれほど単純ではありません。

上記にもいくつか挙げた肺の障害の原因を超絶ざっくりと分類すると、

  •   肺の病気;例えば肺炎
  • ② 心臓の病気;心不全

の2つに分けられます。

これらは全く病態が異なりますので、これを見分けることが適切な治療を施す第一歩になります。

肺の病気は、文字通り肺そのものの炎症や腫瘍などによる障害で、酸素を取り込む力が低下します。

一方、心不全は、心臓の障害により二次的に肺に悪影響を及ぼします。心臓のポンプ力などが低下することにより、心臓が全身に血液を送り切れなくなり、心臓の後ろにある肺に血液(水分)が溜まってしまうのです。

肺は水浸しになり、うまく酸素を取り込むことができなくなってしまうのです。自動車の行き来する街が、台風により堤防が決壊し冠水、機能しなくなった感じです。道路が水没して自動車が通れませんが、水さえ引けば通れるようになります。あるいは、空気をよく通していたスポンジが、水をたくさん吸ってしまい通気性がなくなったイメージです。水を絞り出せば、また通気性がよくなります。スポンジの組織そのものは傷んでいないのです。

つまり、心不全の治療はこの水分を肺から引き出してあげることです。急性心不全による呼吸困難、呼吸不全は秒単位、分単位での治療介入が必要で、わずかな遅れにより死に至ることが珍しくありません。

「息苦しい」患者さんに超音波検査が役立つ


「呼吸が苦しい」と言った症状の患者さんに対し、パルスオキシメーターで素早く酸素飽和度を測定し値が低いことを確認したら、可能なら酸素を投与しつつ、次はその原因を突き止めるべく聴診などの診察を行います。そして、肺の問題か、心臓の問題かを見極めるための検査を検討します。

胸部レントゲン検査は役立つ検査の1つです。しかし意外と判断が難しい場合も少なくありません。

肺炎のような心不全のレントゲン画像もあります。心不全のような肺炎のレントゲン像もあります。レントゲン室への移動も必要ですし、手間がかかります。

一方で、ベッドサイドですぐに出来てとても役立つ検査が超音波検査です。

心臓の動きや形態を観察し、そして心臓の中の圧力(負担)を評価することで、心不全か否かを高い確率で把握できます。超音波で肺も観察することができます。心不全による肺の鬱血像と肺炎による陰影を区別できる場合もあります。呼吸が苦しいという患者さんを眼の前にした時に、心臓や肺を評価できる超音波技術は必須だと思います。

 

まとめ


・「息苦しい」場合、パルスオキシメーターで酸素飽和度を測定すると客観的、定量的評価ができます。

・低酸素の原因は、鼻腔/口腔〜気道〜気管支〜肺のどこかに障害があることがほとんどです。

・肺の障害は、肺そのものの問題と、心臓の問題(心不全)の2つにざっくりと分けられます。

・肺の問題か、心臓の問題かは、超音波検査で区別することができます。

パルスオキシメーターを自宅に常備し、息苦しさを感じた際はご活用ください。酸素飽和度が93%以下のようであれば、お気軽にご相談ください。状況によっては、超音波検査などで調べさせていただきます。

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