新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症に関しては以前も触れました。
症状のある急性のCOVID-19患者の10-20%が、1ヶ月以上続く後遺症を経験すると言われています。症状が改善する期間の中央値は概ね12週間ほどと今のところ考えられています。
残念ながら今のところ特異的な治療方法はなく、対症療法での対処となります。
一方で、運動は様々な身体的な好影響を及ぼし、「ミラクルドラッグ」と称されることもあります。その効果は、代謝性疾患、呼吸器疾患、心血管疾患、神経精神疾患、炎症性疾患、リウマチ性疾患、筋骨格系疾患などの予防、軽減など多岐に渡ります。
これら多岐にわたる症状は、COVID-19の後遺症として多岐にわたる症状・徴候と重なる部分が多々あります。
下の図をご覧ください。左側にはCOVID-19の後遺症の様々な症状や病態が示されています。右側にはそれに対応するような運動の効果効能が示されています。
英語で恐縮ですが、細かいことはさておき、後遺症の病態と運動の効果効能がかなり対応していることがわかると思います。
つまり、運動をすることでCOVID-19後遺症の症状軽減や改善が期待できますし、日頃から運動を心がけていれば後遺症を予防できる可能性もあります。
出典:Int J Environ Res Public Health. 2021;18(10):5329.
この図の論文では「COVID-19の後遺症の様々な症状や考えられるその発症メカニズムにおいて、運動が有益であることが示されていることを考えると、このような後遺症患者の回復に運動がもたらす好影響を検討する価値がある。」としています。
後遺症対策としての運動
COVID-19の後遺症に運動が効果的であるとする明確なエビデンスはありません。しかし上記のように効果が期待できるかもしれませんし、そうでなくとも、運動には様々な身体への好影響がありますから、取り組んで損はありません。
倦怠感で動く気になれない人、肺の後遺症ですぐに苦しくなってしまう人、などなど運動が簡単ではない人も少なくないと思います。無理は禁物です。しかし主治医と相談しつつ、無理のない範囲で、少しでも身体を動かすことが早期回復につながりうると思います。
まずは散歩だけでも良いと思います。自宅でヨガやピラティスでも良いと思います。ラジオ体操でも良いでしょう。できることを、できる範囲で、まず始めてみてはいかがでしょう。始めることが大切です。
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【参考文献】
Jimeno-Almazán A, Pallarés JG, Buendía-Romero Á, et al. Post-COVID-19 Syndrome and the Potential Benefits of Exercise. Int J Environ Res Public Health. 2021;18(10):5329. Published 2021 May 17. doi:10.3390/ijerph18105329