スマートウォッチなどのウェアラブル機器で自分の身体的状態を定量化、モニタリングすることは、今後の自己健康管理において必須の方法です。今後外来診療の主流になるであろうオンライン診療においても非常に重要であることは以前も少しお話しました。
そして、またまた興味深いスマートウォッチを見かけたので購入してみました。
Mafam T1
AliExpressで見かけて、衝動的にポチ。でもオーダーから、到着まで約1か月かかりました笑。
(写真をクリックするとAliExpressに飛びます)
このスマートウォッチのすごいところは、
心拍数や歩数、エネルギー消費、睡眠のトラッキングはもちろん、
・血圧
・酸素飽和度
・心電図
・体温
も測定できる点です。
そのほか、免疫力?や疲労度?も測定できるようです。
お値段は、税込で1,966円でした。安い!
スマホのアプリはこんな感じです。
Mafam T1 による血圧測定
このMafan T1をはじめ、一般的にスマートウォッチの血圧測定機能は光電式容積脈波記録法(Photoplethysmography;PPG)を活用したものです。PPGによる血圧測定値法の精度はまだ確立してはいませんが、恐らくは近い将来信頼できるものになるでしょう。
Mafan T1の血圧と、いわゆる普通の上腕でのアームイン型血圧計(テルモ電子血圧計 P2020)、そして以前紹介したKirlorのスマートウォッチの血圧測定機能と3種同時に測定して比べてみました。異なる日に行った3回の結果を記します。
①
・テルモ:112/82 mmHg
・Kirlor:115/77 mmHg
・Mafam :106/71 mmHg
②
・テルモ:113/74 mmHg
・Kirlor:117/78 mmHg
・Mafam :106/75 mmHg
③
・テルモ:117/82 mmHg
・Kirlor:102/68 mmHg
・Mafam :104/71 mmHg
当たらずとも遠からず。精度に関しては、もう少し使ってみないとなんとも言えません。
MafamT1の血圧測定は、マニュアルによると1h毎の自動測定ができそうな感じなのですが、自分が使う限り実際には出来ていません。マニュアルも不親切。測定したいときにボタンを押して測定する感じ。
Kirlorは、10分毎の自動測定モードがありましたので、血圧測定に関しては圧倒的にKirlorに軍配が上がります。
Mafam T1 による酸素飽和度測定
通常、酸素飽和度を測定するには赤色光と赤外線を使い、指などを挟み込むように測定します。
しかし、このMafam T1は手首に巻いたまま測定できます!すごい!赤色ではなく、緑色光で測定しているようです。赤色光は、酸素化した赤血球と酸素化していない赤血球の吸収率が異なるので酸素飽和度測定には適しているのですが、緑色光はその吸収率にあまり差がありません。どのように測定しているか、調べてみたのですが今のところまだわかりません。
肝心の測定値に関しては、SpO288%とか 89%とか、ありえない数値が複数回でたりして信憑性が???です。
ちょっとこれでは使い物にならなそうです。
Mafam T1 による心電図記録
MafamT1前面下の金属部分に逆の手の指を添えることで心電図を記録できます。スマートウォッチ自体では心電図波形を描出することはできませんが、スマホで確認できて、PDFに変換もできます。操作はスムースなのですが、問題ありありです。しっかりと密着させて記録しているはずなのですが、ノイズ、アーチファクトが強くて、綺麗な波形が記録しずらいです。一見、不整脈(期外収縮)が出ているように見えてしまいますが、実際には出ていません。これではちょっと使い物になりません。
Mafam T1 による体温測定
新型コロナウイルス感染症により体温測定が非常に重要な時代になりました。スマートウォッチで自動的に体温を測定してトラッキングしてくれれば助かります。測定時には(先の写真のように)スマートウォッチ裏面から緑色光が点滅しますのでPPGを使用した技術なのでしょうが、よくわかりません。測定値はもっともらしい36度台の数値が出ます。もっと発熱した時に、それに見合った数値が出るかは確認できていません。
マニュアルによると血圧同様、1時間毎に体温を測定してくれるモードがあるようなのですが、今のところそのモードに切り替えができていません。やり方がわからない。。測りたいときに測定ボタンを押して1回測定する感じの使い方のみです。
Mafam T1の万歩計、移動距離測定
とある日のMafan T1とKirlorのスマートウォッチを左腕に装着、apple watchを右腕に装着して3種を比較。
・Apple watch 11,782 歩, 9.66km
・Kirlor 11,721 歩, 9.5km
・Mafam 10,516歩, 7.36km
Apple watchとKirlorは非常に近い結果でしたが、Mafan T1は低めに出ました。精度が劣る印象です。
Mafam T1は、コンセプトは良いけれど、、、
Mafan T1は、心拍、血圧、心電図、酸素飽和度、体温、歩数、消費エネルギー、睡眠をトラッキングできる多機能スマートウォッチです。しかも約2000円という超絶高コスパ!
しかし!
残念ながら、完成度は高くなく未だ発展途上という感じです。個人的にはちょっと実用には耐えないと感じています。
とてもお勧めできません。
しかし、この小さなボディにこれほど多くの機能を組み込むことが出来るという可能性を感じさせてもらいました。恐らくはそれぞれの機能がクオリティを上げて、遠くない将来実用に耐えうる機能になるのではないかと思います。
心拍、血圧、酸素飽和度、体温全てわざわざその都度測定するのではなく、手首に装着しているだけで自動的に(例えば10分毎とか30分毎とか)トラッキングしてくれるととても嬉しいです。