ストレスは我々の内側から湧いてくる

投稿日: カテゴリー: ポジティブ心理学

外的ストレスは極力排除しよう

食事、身体活動、睡眠を整えて、ストレスを回避すれば7割方病気にならないと思っています。そのうちの「ストレス」についての話題です。

先日、ストレスの身体的影響についての記事を書いたように、過度なストレスは心理的のみならず身体的に悪影響を及ぼすことが生理学的にも疫学的にも示されています。


可能な限りストレスフルな環境から自らを遠ざけることをお勧めしたいです。

例えば、過重労働が著しく心身に悪影響をもたらしている会社であれば、転職すれば良いのです。

例えば、夫の言動により著しく心身に悪影響を生じているのであれば、離婚すれば良いのです。


客観的に見て環境を変えることが可能そうな人でも、なぜか今現在の会社や夫、ストレスフルな環境に縛られて苦しみ続けているというケースが少なくないと感じています。現状維持バイアスが働いたり、環境を変えることにもエネルギーが要ることも確かですが、一度きりの人生、少しでも心地よい環境で生活したいです。失った時間は戻ってきません。


とはいえ、経済的理由などで転職や離婚、環境を変えることが難しい方ももちろんいらっしゃいます。

程度の差はあれ、どうしても避けがたいストレス源は誰にでもあることです。もちろん自分にもあります。

そのような不可避な外的ストレスに対して、我々はどのように対処すれば良いのでしょうか。

ネガティブ感情はどこから湧いてくるのか?

外的ストレスにより、多くの場合「ネガティブ感情」が湧きます。「ネガティブ感情」の主だったものとして、以下の5つが挙げられます。

・怒り
・悲しみ
・罪悪感
・不安
・羞恥心



例えば、私が、上司にとある忠告を受けました。

私は、その上司、忠告に対して「怒り」が湧いてきました。


この「怒り」という「ネガティブ感情」は、上司や忠告と言う「外的ストレス」「逆境」から直接湧いてきたものではありません。

自分の心から湧いてきたものなのです。

「”口うるさい”上司」「”理不尽な”忠告」などの「解釈」「思考」あるいは「信念」から、ネガティブ感情は生じているのです。”口うるさい”や”理不尽”は、自分の存在や考え方とは相容れないと言うことを反映しています。概念的に表現すると、「怒り」の原因は「自己の権利の侵害」によりもたらされるとも言えます。

「外的ストレス」  → 「ネガティブ感情」
「上司・忠告」   → 「怒り」


ではなく、

「外的ストレス」 →  「解釈/信念/思考」    →「ネガティブ感情」
「上司・忠告」  →「口うるさい」「理不尽な」 →「怒り」

「上司・忠告」  →  「自己の権利の侵害」  →「怒り」

なのです。

上司の忠告に対して、「悲しみ」を感じるかもしれません。その「悲しみ」という「ネガティブ感情」も、上司や忠告と言う「外的ストレス」「逆境」から直接湧いてきたものではありません。

自分の心から湧いてきたものなのです。

自分の能力や自信に対する「喪失感」により「悲しみ」が湧いてきているのです。

「上司・忠告」  →「喪失感」 →「悲しみ」



上司の忠告に対して、「羞恥心」を感じるかもしれません。その「羞恥心」という「ネガティブ感情」も、上司や忠告と言う「外的ストレス」「逆境」から直接湧いてきたものではありません。

自分の心から湧いてきたものなのです。

自分の能力が劣っている、あるいは劣っているように見られてしまうのではと言う、自分の能力と他者の能力の「ネガティブな比較」により「羞恥心」が湧いてきているのです。

「上司・忠告」  →「ネガティブな比較」 →「羞恥心」





このように、「外的ストレス」に晒された際に湧いてくる我々の「ネガティブ感情」は、「外的ストレス」そのものからではなく、自らの心、「解釈」「思考」あるいは「信念」から湧いてきたものなのです。


ABC分析でネガティブ感情をメタ認知



上記のようなプロセスを分析すること、自分の信念や思考を探ることをABC分析と言います。A,B,Cとは以下を意味します。

Adversity(逆境)→ Brief(信念/思考)→ Consequence(結果)


つまりストレス対策というのは「外的ストレス」を回避することも重要ですが、湧いてきたネガティブ感情を生み出している自分の心の中のBrief(解釈/信念/思考)に気づくことが第一歩なのです。

自分のBrief(解釈/信念/思考)は、ネガティブ感情と1:1でリンクしています。

・自己の権利の侵害 → 怒り
・喪失感      → 悲しみ
・他人の権利の侵害 → 罪悪感 
・未来への脅威   → 不安
・ネガティブな比較
 → 羞恥心 


「ネガティブ感情」が湧いた際、そんな自分をメタ認知してその「ネガティブな感情」を生み出している自分のBrief(解釈/信念/思考)は何か?を内省するのです。



自分のBrief(解釈/信念/思考)を変える

多くの場合、そのBrief(解釈/信念/思考)は単に「思い込み」に過ぎなかったりします。

このBrief(解釈/信念/思考)を見極めて、変えることこそ、ストレス対策のキモです。レジリエンス(忍耐力、回復力)の強化です。


Brief(解釈/信念/思考)を変える方法はいくつかありますが、ごくシンプルに言うと


・ それが真実なのか疑ってみる

・ 視点を変える



が有用です。

上司の忠告に「怒り」が湧いてきた上記の例では、「”口うるさい”上司」「”理不尽な”忠告」という「解釈」「思考」「信念」から、ネガティブ感情「怒り」が生じていました。

本当にその上司は常に”口うるさい”のでしょうか?
そうでない時もあるはずです。いつでも、どこでも、誰にでも、”口うるさい”わけではないはずです。

本当にその忠告は「理不尽」なのでしょうか?
客観的、冷静にもう一度考え直してみましょう。上司の理屈もごくわずか、ごく一部でも理解できるところはないでしょうか?わずかであっても、自分に落ち度はなかったでしょうか?忠告されても仕方のない面はなかったでしょうか?

人として最も酷い仕打ちは「無視」されることです。視点を変えれば、たとえ理不尽な面はあろうとも「忠告」してくれることはありがたいですし、成長の糧にもなり得ます。



上司の忠告にカッときましたが、冷静に考え直してみれば、上司はいつもいつも口うるさいわけではないし、自分にも僅かながら落ち度はあって、忠告されても仕方のない部分はあったかもしれない。忠告してくれることで気づきや学びもあった。

このように自分の「ネガティブ感情」をメタ認知し、Brief(解釈/信念/思考)を見極めて、それを少しでも変化させることで、その「ネガティブ感情」が軽減することが期待できます。


日常から、ABCを意識して、メモすると良いと思います。ABC日記です。
Adversity(逆境)→ Brief(信念/思考)→ Consequence(結果)

Aは、ネガティブ感情が湧いてきた事象を簡単に書きます。
Cは、湧いてきた感情やその時とった行動を一言で書きます。
そして、最後にBを内省します。

自分が、どのような思考パターン(Brief(解釈/信念/思考)とネガティブ感情のリンク)が多いのか把握することもできるようになるでしょう。


次第に、ネガティブ感情が湧いてきたら、「ネガティブ感情キター!」と感じ、ABC分析することが楽しみになります。






ストレス対策のまとめ


・外的ストレスを極力排除しましょう。失った時間は戻ってきません。
・ネガティブ感情は自分の心から湧いてきます。
・ネガティブ感情が湧いてきたら、ABC分析をしましょう。
Adversity(逆境)→ Brief(信念/思考)→ Consequence(結果)
「外的ストレス」 → 「解釈/信念/思考 →「ネガティブ感情」
  ① まず、AとCを書いてみる。
  ② Cを生み出す、Bを見極めて、
  ③ 真実なのか疑う、視点を変えてみる

・Brief(信念/思考)を見極めて、変えることがストレス対策の重要なポイント




【参考図書】

・折れない心のつくりかた はじめてのレジリエンスワークブック
一般社団法人日本ポジティブ心理学協会(JPPA) (著), 宇野 カオリ (監修)

→ 簡単に気軽に読めます

・レジリエンスの教科書: 逆境をはね返す世界最強トレーニング
カレン・ライビッチ (著), アンドリュー・シャテー (著), 宇野カオリ (翻訳)

→ ペンシルベニア大学で効果検証された世界最高峰のメンタル訓練法”penn resiliency program”の本。やや読みにくいですが、内容はとても良いです。




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