日々患者さんとお話ししていると、仕事上のストレスが大きい方が少なくありません。
先日、業務時間内にピラティスを組み入れることにより従業員の仕事満足度が向上するという論文をご紹介いたしました。
今回は、職場でのヨガが、労働者の仕事に関するストレスの軽減に有効であるという初めての系統的レビュー、メタ解析論文をご紹介します。
従業員のストレス軽減のための職場ヨガ介入の効果:系統的レビューとメタ解析
Della Valle E, Palermi S, Aloe I, Marcantonio R, Spera R, Montagnani S, Sirico F. Effectiveness of Workplace Yoga Interventions to Reduce Perceived Stress in Employees: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Funct Morphol Kinesiol. 2020 May 26;5(2):33.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7739364/
【背景】
仕事に関連したストレスは、生産性低下、衛生的支援による膨大な経済的負担を助長することが確認されている。
ストレスの主な臨床症状としては、不安、イライラ、疲労、睡眠障害、苦痛、燃え尽きなどが挙げられる。これらを管理することは、公衆衛生上の重要な課題となっている。
様々な対策が試みられているが、瞑想は、効果的なストレス管理介入として科学的な関心が高まっている。
ストレス管理のためのヨガの有効性は実証されており、生活の質(QOL)の改善が見られる。以前の研究では、ヨガはコルチゾールの血中濃度、収縮期血圧や心拍数の低下など、ストレスに関連した生理学的パラメータを改善させることが証明されている。おそらく精神神経内分泌免疫メカニズム(psycho-neuro-endocrine-immune mechanisms)によるもので、副交感神経活性の改善、交感神経ホルモン分泌の最適化、代謝率の低下などに関連する。
一般の人々の健康指標にヨガがポジティブな効果をもたらすことが示されているが、企業のウェルネスプログラムの一環として職場で行われたヨガの介入が業務に関連したストレス軽減に及ぼす効果を調査した系統的レビューはない。
【目的】
職場で行われたヨガの介入が従業員の知覚ストレスを軽減することの有効性をシステマティックレビューとメタアナリシスを行い評価する
【方法・結果】
各種データベースを検索、3392件の論文のうち条件に合致した無作為、非無作為化比較試験6件を最終的に対象とした(スウェーデン、インド、イギリス、アメリカなど)。合計487人(ヨガ介入群266人、対照群221人)。女性の割合が高く、参加者の平均年齢は、32歳から54歳。職業は、医療従事者、電話会社の従業員、大学の従業員、地方自治体の従業員、国保の従業員など。
職場で実施されたヨガのプログラムは各研究で様々だが、概ねセッションは1h、週1-3回(1研究のみ毎日=7回)、4-12週間。自宅での練習セッションを含むものも4研究あり。
メタ解析により、職場で実施されたヨガ介入は、従業員のストレスの軽減に有意な効果があることが明らかになった(ES: -0.67 [95%信頼区間(CI): -0.86, -0.49])。(→ 中〜大きな効果)
【結論】
系統的レビューとメタ解析により、職場で行われるヨガの介入は、従業員のストレス軽減に有効であることが示された。大規模でより質の高い研究が望まれる。
企業のウェルネスプログラムとして最適なヨガ、ピラティス
Googleなどの企業が社内でマインドフルネス瞑想を取り入れていることはよく知られています。ヨガも、ピラティスも「mind-body exercise」という表現を使われることがしばしばあるように、瞑想的な要素を含むエクササイズです。瞑想+運動という感じで、1粒で2度美味しいというやつです。健全な心身を促すことは容易に想像できます。しかも道具も、広い場所も必要ありません。
業務時間内に、会社もしくは(テレワークなら)自宅で取り組むには絶好のコンテンツだと思います。
zen placeのヨガ、ピラティスも良いと思います。
https://www.zenplace.co.jp/pilates/